「ヘンリー五世」「から騒ぎ」「ハムレット」と、シェイクスピア作品を数多く手がけてきたケネス・ブラナーが、シェイクスピアの人生最後の3年間を描いた監督・主演作。1613年6月、「ヘンリー八世」上演中のグローブ座が大火災により焼失した。断筆したウィリアム・シェイクスピアはロンドンを去り、家族が暮らす故郷のストラットフォード・アポン・エイボンへと戻った。20年以上の間、ほとんど顔を合わせることのなかった主人の帰還に妻と娘たちは戸惑いを隠せなかった。そんな中、シェイクスピアは17年前に幼くしてこの世を去った最愛の息子を悼むために、庭を造ることを思い立つ。シェイクスピア役をブラナーが演じるほか、オスカー女優のジュディ・デンチ、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイアン・マッケランら豪華なキャストが顔をそろえる。
シェイクスピアの庭評論(7)
シェイクスピアのことは、作品も人物もほとんど知らないのだけれど、楽しく見れた。
映像が美しく、全体に暗いのでコレは映画館で見る作品だなあという感じ。
どのシーンもとても美しくて、いいなあと思った。
ジュディスが、最初はヒステリックで嫌な女だなあと思うんだけど、ストーリーが進むにつれ、彼女の傷が明らかになってくる。女が全く認められない時代や、父親への想いや、弟の秘密や、彼の死に対する自責の念。そりゃ自分のこと嫌いになるわっていう要素満載で、彼女に感情移入してしまう。跡取りを望む父親のために結婚するとか、彼女は父親に愛されたいだけなんだ。最後少しでも彼女が救われたのであれば、それでいい。
ウィリアム・シェイクスピアなんて、自分勝手なおじさんよりジュディスの魂の救済を望んでしまうのだ。
そこら辺を全部含みおいて、なおかつ静かに構えていられる奥さんのアンが素晴らしい人。一見穏やかなんだけど、芯はすごく強い。そんな彼女が文字を覚えて、結婚誓約書にサインする場面は、とても良かったなあ。
名優たちが、シェイクスピアの詩を詠唱する場面はどれも素晴らしく、やっぱり英国俳優はシェイクスピアやってなんぼなのねえ。でも、ジュディ・デンチとイアン・マッケランがあと5年若かったらもっと凄かったんじゃないだろうかと、少し思ってしまうのだった。
ところで、庭、完成したの?
子供を喪った哀しさは、男系が途絶える辛さと混濁しシェイクスピアを襲う。真実を知らされたシェイクスピアは娘たちと向き合い、妻と向き合い、己の葛藤に終止符を打つ。
Second-Best Bed はアンと一緒に眠ったベッド。Best-Bedは"This field-bed is too cold for me to sleep"なんでしょ?そんなベッドでアンに眠って欲しくない。取り戻した絆を象徴するSecond-Best Bedを相続すると言う、可愛らしいジョークの意図は「死んでも心は君と共にある」。
ケネス・ブラナー、ジュディ・デンチ、イアン・マッケランの演技が素晴らしかったのと、ザック・ニコルソンの撮影!「スターリンの葬送協奏曲」「ガーンジー島の読書会の秘密」に続いて三作目ですが(俺調べ)、良いですね。大好きです。
燃え盛る劇場に重なるシェイクスピアの影。1本の蝋燭の灯りだけで暗い食卓を囲むスザンナ一家。暖炉と多くの蝋燭で照らされるシェイクスピアの夕食の場面。昼間で灯りもとらず薄暗い部屋で抱き合う男女。真っ暗になるまでサウサンプトン伯爵の帰りを待つ家族たち。日没後に別れを告げるハムネット。明暗を用いた表現のテーマ性。
離れ離れに座る三人を捉える壁際からの構図をはじめとし、画面を横方向に走る線を強調する静的表現。視点の高さに合わせる動的表現。庭は、おそらく息子(ハムネット)の視点の高さ。馬上から見下ろす高さ。等々。
もうね、この画だけでも大好き、って言いたくなります。
ストーリー的には、現代にも通じるところがあり。
全般的には、期待値通りで良かったです。
シェイクスピアの生涯をちょっとでも学んだ人なら、引退したシェイクスピアを訪ねてくる人との会話が何を意味するか察して興味深いだろうけど、知らない人はキモイと感じるかも。私的に詩の字幕はこれで良かったのか?と一寸疑念が・・・
やはり当時のイギリスの文学、風俗、環境、シェイクスピアの業績(戯曲と詩)と晩年を知っている方が理解が深まるのは間違いないです。
映画では綺麗にまとめているけど、実際はどうなんだろう。
それは誰も知らないわけだから、こうした映画が作られるのでしょうね。
大学ではシェイクスピア演劇のゼミ生だったので、モヤッとするけどイギリスの秋の風景が美しかったので、☆+0.5。
にしても、今年はまだ3月だというのに、イアン・マッケランを3度、ジュディ・デンチを2度観てしまったわ。
他に居ないのか?と感じるほどだけど、イアン・マッケランは役を演じ分けられていて、素晴らしい役者だと思う。
名前は、知ってましたが、
晩年、引退してから
家族と向き合うことになるとは。
夢にも思わなかった事でしょう。
真面目な、彼だからこそ
子孫を残すことができなかったのかなと。
家族の物語として、今でも起こり得る事盛り沢山
参考になりました。
穏やかなとてもいい映画。
イギリスの田舎の風景わかりました。