過去に自分とそっくりの人間がいたということから、運命のいたずらに翻弄されていく主人公を描いたサバイバルミステリー。貧困のためネットカフェ暮らしをしているシホは、ある街角で初対面の占い師に「あんた、25年前にも来たね」と言われる。自分と瓜二つの人間が25年前にいたのかどうか、真実を知ろうとしたシホだったが、そのことから彼女は不思議な出来事に翻弄され、常識の全てが覆る思いがけない事態に直面していく。「劇場版コード・ブルー
ドクターヘリ緊急救命」「人間失格
太宰治と3人の女たち」などに出演した山谷花純が、主人公シホ役と25年前に失踪した女優・星乃よう子役の1人2役を務めた。監督は、前作「数多の波に埋もれる声」と本作で、2作連続のゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアターコンペティション部門出品となった宗野賢一。
フェイクプラスティックプラネット評論(3)
盲目の占い師に25年前に占ったと言われ、自身の生まれた日に失踪した女優とそっくりと言われる流れから、母親にそっくりな人が見つかってと何だかファンタジーだったり生い立ちに関するサスペンスだったりな流れだけど…。
研究所だとかクローンだとか親のこととかあれだけ振って、更にはどこで調達したんだよというオバチャンの件に魔女がどうとか。
色々と全部どうでも良くて、とりあえず身寄りのない寂しさを抱えた女性の成長物語?それだけ?
回収しないなら、もう少し含みを持たせてニヤリとさせてくれても良かったんじゃない?と感じた。
主人公の女優さんのPVなのだろうか、彼女のファン以外は今作品の目新しさは殆ど感じない仕上がりに感じる人もいるかと思う。かくゆう自分も然りだ。貧困により風俗に身をやつさざるを得ない対人恐怖症の娘が、常宿にしているネットカフェの同じような環境の“住民”と啀み合い、汲々とした荒んだ生活の中、客からのある往年のアイドルとの相似を言われる。奇しくも同じ年月日に失踪と誕生も相俟って、輪廻天象又は本当の親子だとただならぬ運命を感じた娘は、天涯孤独の寂しさからの逃避をするように、失踪した女の行方を気にかける。都合良く情報がもたらされるがどれも彼女の願いとはかけ離れた事実(唯一存在の家族写真は無関係、故に母親は間違い 失踪したアイドルが母親かと信じたがそれも違う)のみ。 謎の集団に襲われ逃げたが、途方な心の落ち込みは、娘を自殺へと駆り立てる。 しかし周囲の励ましの声がその寸前に脳裏をかすめ、彼女を踏みとどまらせ死神を追いやる。そして娘は憑物が取れたように、人生に於いて悲観的な気持を脱ぎ捨て孤独感からの脱却と、新しい生活に積極的に一歩踏み出す、「今を大事にする」の言葉を胸に・・・という粗筋だ。ストーリー展開的にもストレートで外連味はない。謎の集団自体がスパイスかと思いきや一切これについての回収はない。娘が気持を切り替える“マクガフィン”としての装置に過ぎず、連れ添った夫を殺して車に運ぶ妻の手伝いをしたりとか、非日常な内容が立て続けに起こることによる、思考能力の処理負荷により、精神が異常を来すことで頭の中で信じていた世界の転覆を図らずも可能にしたという落とし処ではないだろうか。
全体を通して悲壮感が無いから共感性が持てないことや、フードを最初は被っているがラストは被ってないという分かり易い演出の安っぽさといい、鑑賞の対象年齢が低く抑えられているのではないだろうかと思わせる建付けである。運命や因縁といったものに縛られずに、自分の意思で進むこと、そして目に見えることは大事な事じゃない、もっと心を開くことで周りも手を差し伸べてくれるという、劇中にもあった、宗教的、又は道徳的なテーマが散りばめられていて、学校教育の一環作品かと思わせる内容である。
何の衒いもない直球的内容は、昨今の複雑的映画内容へのアンチテーゼかと訝しるが、訴えたいテーマなのであろう。自分には全く響かなかったが・・・
同じ誕生日の自分としては期待したのだが、これも又運命や因縁を感じてしまった罪なのであろうかw