不治の病に侵され、余命いくばくもない少女と作曲家の青年の恋を描いたクラシカルな純愛物語。60年代のヒット映画『不寮不了情』を下敷きにした、シンプルで哀切なストーリーが香港の観客の涙を誘い、低予算・ノンスター映画ながら大ヒットを記録。93年度の香港電影金像奬では最優秀作品・監督・主演女優・助演男優・助演女優・脚本の主要6部門を独占した。監督・脚本はショウ・ブラザースの専属俳優を経て監督業にも進出し、『野獣たちの掟』(V)などを発表したイー・タンシン。監督第4作に当たる本作の成功で注目を集めた彼は、続いてアンディ・ラウ、アニタ・ユン主演の娯楽大作『烈火戦車』を手掛けた。製作はチャン・モンワー、撮影はタン・チーワイ、音楽はクリス・バビダ、美術はユー・チュンマンが担当。主演は元ミス香港で、本作で一躍スターとなったアニタ・ユンと、監督が本作の構想時からイメージキャスティングしていたというラウ・チンワン。「欲望の翼」のカリーナ・ラウ、「黒薔薇VS黒薔薇
kurobara tai kurobara」のフォン・ボーボー、歌手・監督としても活躍するシルヴィア・チェンらが共演。
つきせぬ想い評論(2)
昔、正月の深夜放送で偶然観て惹きこまれ、余りの切なさに胸を打たれた。もう一度観たかったのだが当時はまだDVDがなく探しまくって当時16,000円、無理をしてVHS版を手に入れた。どこにでもいる歌好きの朗らかで純真な娘と若い作曲家の出会いと恋、デートも縁日で背伸びをせず等身大の恋愛像が共感を呼ぶ。病魔に裂かれる展開はあまりにも切ない。後に、中国に百恵ちゃんの赤いシリーズが随分流されていたのでインスパイアされたと聞いた。タモリさんならずも小百合ストで「愛と死を見つめて」とか「泥だらけの純情」とかで泣かされて以来、意図せず出会った悲恋物の名作である。時代は変わっても同様の作品は作られているが観る方が汚れすぎたのか気恥ずかしくて観ていない、恋愛映画で泣けた自分が懐かしい。「つきせぬ想い」のタイトルが全てを物語っている・・・。
母親の誕生日に演奏するシーンは感動的だ。