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WANDA ワンダ評論(2)
まるで『俺たちに明日はない』を思わせるロードムービーだが、主演にして監督兼脚本のバーバラ・ローデンは、『俺たちに~』へのアンチテーゼとして作ったと語る。それは今でも続く男性社会へのアンチテーゼ。だからこそ、『エル ELLE』で男に抗う女性を演じたイザベル・ユペールが本作を気に入り、配給権を買い取ったのも理解できる。
とにかく劇伴もなければセリフも極端に少なく、画質も粗い。ロングショットも間延びした本作を、今の若者が観たら退屈に感じるかもしれない。最後まで観て、結局ワンダは何がしたかったのかと不満に思う人もいるだろう。でも本作が作られた1970年代のアメリカ映画=アメリカン・ニューシネマはどれもこんな感じだった。
バーバラ・ローデンという女優は全く知らなかったが、ミシェル・ファイファーやキャメロン・ディアスを彷彿とさせる彼女の、終始憂いを含んだ薄幸の表情が印象深い。バーバラ本人はワンダのような自堕落な人間ではなかったのだろうけど、彼女の中にはワンダが存在していたのだろう。