「凶悪」「孤狼の血」などを送り出してきた白石和彌監督が初プロデュースを手がけ、生田斗真を主演に迎えて送る人間ドラマ。作家・河林満の名編「渇水」を原作に、心の渇きにもがく水道局職員の男が幼い姉妹との交流を通して生きる希望を取り戻していく姿を描く。市の水道局に勤める岩切俊作は、水道料金を滞納している家庭や店舗を回り、料金徴収および水道を停止する「停水執行」の業務に就いていた。日照り続きの夏、市内に給水制限が発令される中、貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々を送る俊作。妻子との別居生活も長く続き、心の渇きは強くなるばかりだった。そんな折、業務中に育児放棄を受けている幼い姉妹と出会った彼は、その姉妹を自分の子どもと重ね合わせ、救いの手を差し伸べる。監督は、岩井俊二監督作や宮藤官九郎監督作で助監督を務めてきた高橋正弥。
渇水評論(9)
しかしながら子供には罪はなく、子供を産んだからには親の責任は逃れられません。
子育てを放棄する親が居ることは確実で、そこを本気で考えなければならないと思います。
子役を含めてキャストは最高だと感じました。
原作は未読。
本作はPG12指定されていますが、画的には過激な描写はないです。ですが、さらっと残酷。
主人公は水道局員。水道代金を支払わない家庭の水道を止めるのがお仕事。水道は電気と違い止まると命に関わる可能性があるため、電気より停止までの猶予期間が長く設定されている。そんな水道を止めるということは死刑宣告と同じ。
毒親育ちの主人公はどこか渇いていて家庭をもっても上手く馴染めずにいたが、とある母子家庭の親子と出会い変わっていく。
全体として印象に残ったのは役者さんたちの演技。皆それぞれ自分の役割をばっちりこなしていて安心感があった。特に子役の子達の演技が光っていました。
役者さんたちの演技が良い分もっと観たいと思ってしまうが、ちょっと出てきては消えていくので消化不良気味に。
その割に100分というそれほど長くない上映時間が長いと感じてしまったので、配分にやや難あり?
現実的に結構残酷な場面もあるが、登場人物が皆さっぱりとしているからかそこまで残酷に見えない。でも、そのさっぱりが説明不足というか、映画の中に入りきれない原因にもなっているのかなとも感じた。
トークイベントで知ったのですが、原作から時代を合わせるためにちょこちょこと改編が加えられているようです。特にラストはガラッと変わっているそうで原作も読んでみたくなりました。
しかし改編が加えられているからか少しチグハグ感も感じました。人々の考え方や暮らし、ファッションがモロ昭和なのに現代のものが出てきて、昭和と現代が混在しているような落ち着かない感じ。
この話を現代に合わせるのは難しかったのかなとも思いますが、現代に変えたからこそラストは救いのあるものになりえたのでその点は良かったです。
暴力もセックスも殺人も無いのにスクリーンから感じられる『白石和彌』感。
高橋監督の仕事ぶりが見事です。
ぷっつんした生田くんに溶け込んでいく子供達が絶妙かなと。
100分の尺もラストの落とし方も観やすくて好き。
恵子役の山崎七海ちゃん。
『祈りの幕が下りる時』の桜田ひよりの匂いがする…