第14回小説現代長編新人賞を受賞したパリュスあや子の小説「隣人X」を、上野樹里と林遣都の共演で映画化した異色のミステリーロマンス。故郷の惑星の紛争によって宇宙から難民として地球にやってきた「X」と呼ばれる生命体が世界中に溢れ、各国がその対処に苦慮する中、日本はアメリカに追随するように彼らの受け入れを決める。Xは人間にそっくりな姿で日常に紛れ込み、人々はXを見つけ出そうと躍起になって社会に不安や動揺が広がっていく。そんな中、週刊誌記者の笹憲太郎はX疑惑のある柏木良子の追跡を開始。自身の正体を隠しながら良子に接近し、ふたりは徐々に距離を縮めていく。やがて良子に対して本当の恋心を抱くようになった笹は、彼女への思いと罪悪感、記者としての矜持に引き裂かれそうになりながらも、ある真実にたどり着く。監督・脚本・編集は「ユリゴコロ」の熊澤尚人。良子とともにX疑惑をかけられる留学生リン・イレン役で台湾の女優ファン・ペイチャが出演するほか、野村周平、嶋田久作、バカリズム、川瀬陽太、原日出子、酒向芳らが共演する。
隣人X 疑惑の彼女評論(20)
隣人X 疑惑の彼女
そもそも噛み合わない中で疎通をしあっているのだから、最初は異星人のように思えるのも当たり前だ
"人を傷つける時に、心が痛むように出来ている"
ある意味で人間よりも人間らしいが、印が移る理由も考えれば考えるほどに泣けてくる
構えていた唯一のホラーシーンも、改心のための接触だった
怒っている、断罪しているシーンはほとんど無い。ホームのお金のことも、関係を切らずに通い、見通している。悲しいこと、許した後の表情だけが残る
これって、Xじゃなくて冤罪でも同じ作品が作れるな。というくらいうやむや。
出版社の部分が1番リアルっぽい。
「この流れなら犯人はあいつ」のようにある程度予想できる展開だ、、、と思ってみていましたが、最後の5分で、、、
終わり方が不思議だったので、ネタバレサイトを確認しました。原作の小説は原作ですが、ないようが違うようです。主要キャラを1人バッサリカットしているようで、映画化のための英断なのかも知れません。また、終わり方も違うようです。小説を読んだことのある人も楽しめそうです。
ただ、ちょっとSF感が強めになっているようで、それがB級感にも繋がったのかと思います。
ネタバレサイトでは終わり方の意味がわかりませんでした。
たぶん、思い込み厳禁ってことなのだと思います。
日本は、”異質”な存在が受け入れられにくい国なのかもしれない。
”X”として疑われる「柏木良子」と「林怡蓮」は”異質”な存在として描かれる。
良子は、30代半ばで結婚をしていない。コンビニと宝くじ売り場のバイトで生活してい
る。日本社会における”普通”から外れた存在である。
怡蓮は、日本語が理解らない。仕事でもプライベートでも意思疎通がうまくできない。
外国人であることが、怡蓮を”異質”な存在にしてしまう。
多様性がしきりに強調される日本社会。
しかし、”異質”な存在を無意識に排除してしまうのが日本なのかもしれない。
島国であり、外との交流が少なく、その中で生まれた文化が日本には根付いているのではないだろうか。
異質なもの、得体のしれないもの を恐れるのは、人間である以上仕方ないように思う。
しかし、そんな人間であること。日本人であること。自分であることを見つめてより良く生きていきたい。そう思う映画だった。