「若き獅子たち」のエドワード・ドミトリクがオークレイ・ホールの小説にもとづいて製作・監督した西部劇。脚色をロバート・アーサー、撮影を「秘めたる情事」のジョー・マクドナルドがそれぞれ担当している。音楽は作曲リー・ハーライン、指揮ライオネル・ニューマン。出演するのは「女優志願」のヘンリー・フォンダ、「拳銃の罠」のリチャード・ウィドマーク、「黒い蘭」のアンソニー・クイン、「翼に賭ける命」のドロシー・マローン、ドロレス・マイケルズ、トム・ドレイク、フランク・ゴーシン、デフォレスト・ケリー、レジス・トゥーミー等。製作エドワード・ドミトリック。
ワーロック(1959)評論(1)
力に物を言わせて我が物顔に町で暴れる無法者たちを、新しく雇われた保安官がやっつける単純な話だと思っていたら、時代の変遷を描いたずっと入り組んだ話だった。
無法者は無法者のまま登場するが、やたらと法律を意識しながら人々は生活をする。法律を守らない無法者相手に、無力で役にも立たない法律を振りかざして何をしたいのかと思って観ていたが、舞台の時代はもう無法者が好きにできる時代できなくなっていて、法律と規律が力をつけてきているのだ。だから毒には毒で、古いガンマンの力で無法者の力を制するだけではなくなっているのだ。無法者をやっつけることが出来ても、やっつけたものがまた町を好き勝手にするような古い体制をこの作品は否定する。ヘンリー・フォンダもアンソニー・クインもすでに時代から取り残され始めた古い人種で、身の置き所がないという物悲しさが残る。
だけど1959年制作と作品も古いし、作品の持つ雰囲気も演出もそれ相応の古さを持った古い西部劇。