乱暴者(らんぼうもの)
プロット
メキシコ
01月01日 1900 台灣上映
もんしぇん
プロット
日本
08月19日 2006 台灣上映
おつむてんてんクリニック
プロット
アメリカ
12月21日 1991 台灣上映
てんやわんや
プロット
日本
07月25日 1950 台灣上映
てんびんの詩
プロット
日本
03月15日 1988 台灣上映
どんてん生活
プロット
日本
10月20日 2001 台灣上映
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天外者(てんがらもん)評論(20)
以前WOWOWドラマ「ダイイング・アイ」を見た時、バーテンダーを演じる彼のシェイキングなど一連の動きの美しさと無駄のなさに驚いた。知人のバーテンダーに習ったり、バーに通ったりしてかなり練習したのだという。肩幅があってすらりと背の高い彼が指先まで神経の行き届いた所作を行なう様は、何とも言えずクールかつ上品な華やかさがあった。
本作でも、五代友厚が身につけていたであろうと言われる示現流の殺陣のシーンで同じ印象を持った。鞘を付けたままで相手を切らないが、彼が構えた時の緊張感からは美しさだけでなく、一の太刀に勝負をかける鋭い斬撃で知られる示現流の迫力が伝わってきた。これもきっと時間をかけて練習したのだろう。彼の所作の美しさは努力が結晶した美しさだ。
物語そのものは、2時間で五代の一生をさらっているためか正直端折りがちなところもあって比較的淡々と進む印象を受けた。三浦春馬が命を絶ったため、序盤で五代がはるに「命を粗末にするな」と言うシーンなど、どうしても気持ちがどこか現実に返ってしまう場面があった。もちろんこれは作品そのものの問題ではなく、私の姿勢の問題だ。
ひとつだけどうも受け付けなかったのは、大阪の吉村知事と松井市長がカメオ出演したことだ。事前に知ってはいたが、言われなければ分からないような登場の仕方だろうと思っていたら、結構なハイライトシーンで蓮佛美沙子を二人で挟んで立っているのが大写しになってぎょっとした(物語には全く絡まない)。撮影自体は昨年のうちに終わっているが、彼らにとって何とも微妙な時期に公開されたものだなあと思う。個人的に政治家がプロパガンダ映画でもないのにこういう首の出し方をすることは嫌いなので星が一つ減った。
ただ、それを差し引いても五代の魅力を観客に伝えるには十二分な作品だ。彼に関する史実の細かい部分はよく知らなかったが、とても興味がわいた。それはやはり三浦春馬が先駆的ヒーロー五代友厚としてスクリーンで生きているからだ。
エンドロールが終わると自然と観客席から拍手がわいた。五代を顕彰する作品としても、名優三浦春馬の熱演を堪能する遺作としてもその拍手にふさわしい作品だと思う。
物語の規模は大きいですが、有志で作ったような作品であるため、そこまでのクオリティーを求めるのは酷なのかもしれません。
とは言え、「利休にたずねよ」や「海難 1890」といった硬派な作品を作ってきた田中光敏監督作品のため、本作もキチンと映画として成立していました。
舞台は幕末から明治初期で、現在の日本経済のベースがどのように作られていったのか等が描かれています。ただ、本来の史実はかなり入り組んでいるので、分かりやすい形で描かれるオリジナルストーリーとなっています。
主な登場人物は、坂本龍馬、(初代内閣総理大臣で、お札でも有名な)伊藤博文、三菱財閥を築いた岩崎弥太郎、そして、大阪経済を発展させ日本経済のベースを作った三浦春馬さんが演じる五代友厚です。
まず、坂本龍馬を三浦翔平が演じていることに最初は違和感のようなものを持ちましたが、
「坂本龍馬→武田鉄矢がリスペクト→武田鉄矢の物まねが得意な三浦翔平」
といった変換で納得しました。
また、映画では西川貴教をほとんど見たことがなかったので、「お笑い要員?」と思っていたら最初のシーンは不発で「あれ?」と思っていましたが、ラスト辺りで別の意味での良さが出てきます。
伊藤博文は(「ちはやふる」の机くんの)森永悠希で、こちらは自然に見ることができました。
そして、何と言っても希代の“天外者(てんがらもん)”【鹿児島弁で「すさまじい才能の持ち主」という意味】である五代友厚を演じた三浦春馬さんの役柄のフィット感は見事としか言うことがなかったですし、本編を見れば分かりますが、ある種の「運命的なもの」さえも感じる役柄でした。
私が本作を見て思い出したのは、三浦春馬さんが1月下旬に書いた以下の名言です。
「明るみになる事が清いのか、明るみにならない事が清いのか…どの業界、職種でも、叩くだけ叩き、本人達の気力を奪っていく。(中略)
国力を高めるために、少しだけ戒める為に憤りだけじゃなく、立ち直る言葉を国民全員で紡ぎ出せないのか…」
これは当時一部の人から「国力とか意味が分からない」等、批判もされていましたが、本作を見れば、この発言の真意が、より分かるようになると思います。この言葉は、これからどんな時代になっても、私たちが肝に銘じておきたい名言だと思います。
ちなみに、終盤は大阪が舞台となるのでクライマックスとなる演説会場には、群衆の中に現在の大阪府知事や大阪市長の姿もモブでいるので気になる人はチェックしてみてください。
100年先をも洞察する映像表現等は独自性があり、本作の見どころの一つで、私は気に入っています。
演技をする為に時間を惜しまず研究し、自分のものにしたのかと思うと頭がさがる。現場の人達は、その勢いに圧倒されただろうと思う。
学びを大切に生きていった俳優さんだったと、惜しまずにはいられない。
エンドロールが終わるまで誰一人立ち上がらず、しかも、拍手喝采。ながいながい拍手喝采でした。
見事な演技。