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アメリカ
06月07日 台灣上映
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ブラックサイト評論(14)
てっきりアイディアだけが先行しちゃってる映画だと思ってたんですけどね。意外や意外、犯人の動機もしっかり描かれていました。なぜ犯人はこんな人々の『好奇心』を利用するような殺人を行ったのか・・・有り得ない話じゃないだけに、ちょぴり考えさせられます。
それだけに、所々で漂うB級臭がとてもアンバランスで^^;
なんか勿体無い感じがしました。
そもそも土俵が違う。お門違いである。
怖い、というよりグロい。
虐待的グロさ。
殺人をストリーミング配信するサイトの犯人を暴くストーリー。
現代的なテーマで現実感を出したかったのかはわからないけれど、
リアリティはない。
淡々と話は進み、ラストで大どんでん返し、ということもなく、
むしろラストはあっけない。
「えー、ここまでやってきてこんな終わり方ー!?」という感じだった。
中途半端なB・・・いやC級サスペンスである。
・・・あれ?このプロットは「予告犯」と同じでは??
その複線として物語は、主人公のネット犯罪専門のFBI捜査官ジェニファーが道路の事故渋滞に巻き込まれるシーンから始められます。
車が大破し、運転手していた人間は車外に放り出され、上半身にシートがかけてあってどんな状態か伺い知れません。おそらく死亡しているのでしょう。それなのに、通行中の車はこの様子を見ようと、事故現場の横で車の速度を落していき、渋滞が発生していたのです。
きっと通りかかったヤジウマたちは、ネットの書き込みや井戸端会議で、事故のあらましを見聞したことを得意げに語ることでしょう。
アカの他人の死は、そこを通過するものにとって、単なる見せ物でしかないのです。しかし、死んだ人間の遺族にとって、そんな他人の無慈悲な野次馬根性に対して、怨念を抱かせる充分な動機になりえることを、この作品では告発しているのです。
もしあなたの肉親が自殺するシーンを、茶化し気味でニュースに流され、さらにその映像がYOUTUBEに配信されたら、無神経に見ている奴らを恨みに思うでしょう。
ネット配信を使った劇場犯罪は、こんな動機で行われたのです。ネットを通じて、いろんなむ映像に無神経にアクセスして楽しんでしまう時代になったことを考えさせられました。
ただ殺人シーンは何ともショッキングな映像でした。
第一の殺人は、体に「一緒に殺そう」という文字の傷をつけて、閲覧数によって
抗凝血剤が点滴され、出血多量で死亡するというもの。
第二の殺人は、コンクリで手足を固定された上で、閲覧数によって加熱ランプが点灯し、その熱で焼き殺されるというもの。
第三の殺人は、ジェニファーの同僚が被害者となるショッキングなもの。殺し方もひどくて、水槽に閲覧数によって硫酸を流し込むというもの。
3つともすごくリアルで、見るに堪えられませんでした。思い返すだけでもゾゾッとします。
ちかごろ猟奇的犯罪が多発している中で、この作品に触発された模倣犯が出ないことを祈るばかりです。
この3つの殺人は、何の関係も内容に見えて、次第に繋がっていきます。その繋がりを解く新たな要素としてネット捜査が登場しているところがこの作品のウリの部分。
インターネットは匿名と思っている人は、多いでしょうが、実は残されたアクセスログを頼りにサーバーを特定することで、捜査側はサーバー管理者から登録情報を提供してもらい、以外と簡単に個人を特定できるです。
ただこの犯人は、IPアドレスをランダムに変更させ、多数のコピーサイトを多用して、原題どうりの『Untraceable』追跡不能を実現していました。
その仕掛けの部分とそれを追いかけるネット犯罪担当のFBI捜査官との攻防は面白かったです。
但し突っ込みどころとしては、3つの殺人がいとも簡単に終わってしまうのです。それを見ているFBI捜査官は、呆然と眺めているだけ。そういう無力感を製作サイドは見せたかったのかもしれませんが、ただ単に悪化していくだけでは少しもの足りませんね。
3つうち、もしかしたら助かるかも?というような設定を入れておけば、より緊迫した雰囲気が盛り上がったことでしょう。
とにかく他人の死を物笑いの種にしているというマスコミや大勢の人間の心に潜む下劣な好奇心や無関心で無慈悲なこころ、汚らわしさをこれでもかと暴き立てる作品でした。 ホラーやバイオレンスとは違った重たさが鑑賞後ずっしり残りましたね。
サイトに関連した犯罪は、いまや日常化したような危機感を感じます。
連続殺人の手法が今風で、なかなか手がこんでます。アメリカのフカーい病理的なシーンとして描かれていますが、むしろサスペンス小説をみているような推理の楽しみも一面であります。
ノーカントリーとはまた違う犯罪映画。最後の決着も、これもまたアメリカ的。犯人は確信をもって犯罪に手を染めています。雰囲気は、まるでサイコのトニパキ。でも精神は病んでいない、そこが怖い。