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HOW TO BLOW UP評論(1)
本作の主なメンバーは、アメリカン・ニューシネマの主人公達のように反抗することや破壊することを主目的とした人物としては描かれていない。合法な啓蒙活動に行き詰ったが故に過激な手段を選ぶ哀切や、産業への攻撃が地域生活に及ぼす影響、自分達の手段が必ずしも社会に共感されないこと、爆破という行動がニュースやSNSの中で消費されて終わる可能性があることを理解している冷静さが新しかった。
理性的な人物像を与える一方で、共感を得るためか当事者性を持たせてもいる。彼らの主観や感情が向かうのが破壊活動の標的選びで、石油会社や石油化学産業に対して利害関係を持つメンバーが多く、私怨のきらいが色濃いメンバーもいる。私的感情での破壊行為はアクティビズムと言えるのか、復讐ではないのか、という疑問が残った。
彼らの理性的な判断に理解を寄せるか、主観的な感情に共感を寄せるかで賛否が分かれそうな作品である。
過激な活動家をヒールや空回りする意識高い系としてではなく、考え行動する主人公として据えた点は新鮮だった。大きな目標から始まった物語が徐々に個人的な話題にフォーカスし始める展開を、ぶっつけ本番気味の爆破計画の行方や急拵えのメンバー構成に危機感を抱かせることで引き締めた構成も絶妙だった。