「8人の女たち」「2重螺旋の恋人」のフランソワ・オゾン監督がフランスで実際に起こった神父による児童への性的虐待事件を描き、第69回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞した作品。妻と子どもたちとともにリヨンに暮らすアレクサンドルは、幼少期にプレナ神父から性的虐待を受けた過去を抱えていた。アレクサンドルは、プレナ神父が現在も子どもたちに聖書を教えていることを知り、家族を守るために過去の出来事の告発を決意する。彼と同様に神父の被害に遭い、傷を抱えてきた男たちの輪が徐々に広がっていく中、教会側はプレナの罪を認めながらも、責任を巧みにかわそうとする。信仰と告発の狭間で葛藤するアレクサンドルたち。彼らは沈黙を破った代償として社会や家族との軋轢とも戦うこととなる。
グレース・オブ・ゴッド 告発の時評論(20)
とはいえ、名匠の類いの監督。ある意味退屈になりそうな会話主体の情報収集物語を、主人公の交代等の工夫を凝らして飽きさせずに引っ張っていくのは見事でございましたし、正義に目が曇り知っていた筈の他人の痛みに鈍くなる感じもハッ!とさせられました。
宗教というフィールドに拘らず、広く皆に観て感じて欲しい作品ですね。
自らを病気だと認めなからも行為を続ける神父とそれを知りつつ黙認する教会。
大人になった三人の被害者たちがバトンをつないだ。彼らの負った傷と告発までの過程をじっくりと捉えた。彼らの苦悩を十分に納得した。
う〜〜ん、正統派のオゾンも悪くないなぁ。
説得力のある秀作でありました。
しかしエロいのもお願いしたいものです。
ちなみに同じテーマを扱った作品としてはマスコミによる糾弾を描いた『スポットライト 世紀のスクープ』のほうが好きかな。あの作品の展開と高揚感は凄かった。
ある被害者は神父に選ばれた優越感?を語る。
被害者は傷を受けながら多様に生きる。
連帯する事の力は大きい。被害者もその家族も少しづつ変わっていく。
加害者も苦しんでいる。
組織も苦しんでいる。その苦しみに向かい合う事からしか、希望がある。
長いけれど、色々な人物を深く描いていてじっくりと観れた。
カトリック教の司教の犯罪と、それを隠す枢機卿は、語弊があるけど、いつの時代も、どこの国でも組織が違えど起きる事で…特にキリスト教を知らなくても、この物語に理解は出来た。立件までのストーリーがオムニバスではないが、なかなか、興味深い流れで感心した。
被害者もそうだが、被害者の関係者までもが、センシティブな内容に目を瞑るのは、きっと、フランスでも日本でも同じだし、勇気を持つこと、仲間がいる事で生きる希望が見える事もフランスでも日本でも同じだと思った。