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M★A★S★H マッシュ評論(10)
その痛烈な戦争批判の姿勢を抜きにして、コメディ映画として観ても笑いどころ満載で素晴らしい。
ルノワールやヒッチコック、フォン・トリアー等の監督と対極に位置するロバート・アルトマンの即興主義の演出が最大限に発揮されている。
それはアドリブのセリフだけに留まらず、例えば複数の役者が同時に喋るような特異な場面は映画に現実味を与え私達をマッシュの世界に引き込む役割を果たしている。
アメリカ史上で最もアメリカの社会や文化に影響を与えたのがベトナム戦争だろう。
強国アメリカの権威が揺らいで行く泥沼を目の当たりにして様々なカウンターカルチャーが生まれた。
そんな時代に作られたこの作品は朝鮮戦争を舞台にしながらもベトナム戦争を遠回しにかつ痛烈に批判した。
M.A.S.H.の人々は異常なまでに笑いを求めることで戦争の"狂気"から逃れることに必死なのだ。
コミカルな笑いのシーンとシリアスな手術のシーンが対照的に映され、紙一重の"狂気"と"笑い"が描かれる。
「本当のクレイジーになるよりは、自らクレイジーを装うほうがよっぽどましだろ」とアルトマンの声が聞こえてきそうだ。
由来を聞いたらこの映画ということで 見てみた
インテリな感じの戦争映画(朝鮮戦争アメリカ側)で内容はほぼコメディ仕立て
それが逆にリアルを増してんの
ストーリー: 85
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 70
音楽: 70
人の生き死にを左右する立場を認識しているが、普段の行動は無茶苦茶。自分のやり方を通すためには行き過ぎたことも平気でやる。でも医師として守らなければならないものはわかっていて、野戦病院という常識の通じない環境でたくましく生き抜き仕事をこなしていく。
野戦病院勤務というのは、真面目であればいいというものでもないのかなと思う。耐え難いストレスを解放して自分を制御するためには、奇麗事ばかりやってはいられないのだろう。人は苦しみの中にも喜びを見出そうとするものだし、世間一般の規則や倫理観では手に負えないこともあるだろう。
そのために彼らは少々暴走しすぎる傾向はあるが、現場において最善のためには常識など守ってられないというのは納得できる。ただのたちの悪い悪戯好きなだけのやつらではない。だから彼らが悪いことをしていても笑っていられる。もっともこんなやつらばかりだとやはり実際には困るだろうが。可笑しいと同時に実はちょっと深刻な主題の映画。
名優になりそびれた感のジャック・バウアーの親父さんに相変わらず若禿なR・デュバルとラストのフットボールの場面が戦場になっちゃったチャらけた演出!?